佐山監督日記

『日記．28』
2001/07/28

さて、質問レスの続きです。と、その前に前回の日記に対してのコメント、ＢＢＳの方で拝見させて頂きました。
蛍のデザインを私がしたというのはちょっと語弊があるかもしれないですね。あくまでもラフですので。正式でザインで残ってるのは髪型くらいで、コスチュームなんかは殆ど見る影もありません（笑）。大体にして私が最初に描いたラフコスチュームなんかビニール（値段の高い雨合羽みたいな固めの）みたいな素材でスケルトンな感じの、しかも半パンでしたよ（爆）。おっと～！誤解のないように言っておきますが、透けているのは上半身、パンツではありません（笑）。細の黒コスといい、もう誰かが何とかしないとすぐ露出に走るんだから～～～いやん・
誰かこの女を止めてくれ～～～！！てなことで、小林さんに止めて頂き本当に助かりました。
ああ、おもしろラフといえば、豪とか細とかもありますね。豪、細もはじめ髪型をどうするかとか企画段階があるんですが、「加藤晴彦調、豪」とか、「石田一成調、細」とか。細はともかく豪はまったく似合っていませんが（笑）

思わず脱線しましたが、劇場版プリーズさんの質問へと参りましょう。

＞演出等で複数のアイデアがあって特に頭を悩ませたというシーンはありますか？

全部（笑）。集団で作ってますのでそういうことは当然ですね。シナリオ会議の時からつまってみんなで無口になることもしばしば。逆に各人いろんなアイディアが出過ぎて饒舌になることもしばしば（笑）。
個人間（私の頭の中とか）でももちろんあります。いっつも悩んで「よし、これで勝負だ～～！」と打って出るわけです。賭けに勝つか負けるかはやってみないとわからない。（￣～￣フッ）

＞逆に、最初からここはこういうふうに見せるぞ、というはっきりしたイメージがあった場面は？

場面というか、全体的な結論は頭から決めてました。「みんなで幸せになろう」と。
貴子も含めて、何かしかの形で救済したいな、と。でもこれがなかなか一筋縄ではいかなかったりするのです。
前述の答えにも被ってくるのですが、何ぶんナマものですので、やってみないとわからないのです。こうしたい、と思っていてもキャラの心情がそのように動いてくれないことがままあるんですよ。だから、一歩間違えば悲劇的な結末にもなりえたかも。
「こうしよう」と決めたことが最後の最後まで微塵も変わらずに残ってる方が、もしかしたら稀かもしれないです。
そのテのエピソードはまたいずれぽつぽつと書いていきますね。ネタ温存（笑）。

＞公式BBS等で様々な反響をご覧になったと思いますが、放送前に予想なさった反響と比べていかがですか？

これは前回のレスと被るとおもうので、割愛させて頂きますね。

＞（佐藤総監督へ）コミックス２巻のあとがきで、「美少年に（を描くのに？）あこがれてこの世界へはいったんです」と話す女性アニメーターの方々の声を心にとめてらしたということでしたが、全１３話が終了した今、その方々は満足してらっしゃるようですか？（笑）

佐藤さん、よろしくお願いします（笑）。

おっと～、随分長くなってしまったので、また次回に繰り越しさせて頂きます。出し惜しみ、出し惜しみ。
ではまた。

『日記．27』
2001/07/26

まだまだ続きます。質問のレスです。今回はクラムボンさんの質問から。

＞細は貴子への思いが深いゆえに黒細になる（ナイトを捨てる）決断をしたんですが、この急展開はどう思いましたか？

これは、イベントで公開させて頂きました。私も桜井さんに直接お聞きしたことがなかったので、私自身が聞きたかった（笑）。桜井さん的には「別に意外ではなかった」とおっしゃってました。細の感情も話数を重ねるごとに小出しではあるけれども少しずつ見えてはいたので、急展開という感覚はなかったようです。それにただ自分の気持ちに正直に行動した結果がああだったので、他のナイトを裏切ったとか他のナイトに悪いとか、そういう風には思っていない。あれはあれで十分悩んだ結果だし感情的にはわかるので、ありだと思う・・・とのことです。ただ一つ難点を言えば、細が災妃に寝返ることが明るみになった途端、女性キャストの方々から「裏切り者」呼ばわりされたことだそうです。飲み会の席でもいじめられたと（笑）。結論としては「いや、おいしかったですよ」ですと。（爆）

＞最後にまた吉田さん、鳥海さん、そして監督さんへ公式サイトは連日大盛況。各キャラの「同盟」まで出現していて結束が固いのですが、この現状を見て、率直な感想をどうぞ。

こちらもイベントで似たような質問を公開しましたね。
吉田さん達の詳しい感想は聞けませんでしたが、皆さん時々公式ページは覗きにきていらっしゃるようですよ。嬉しいとおっしゃっていました。
私はと言うと、この仕事を続けていて公式ホームページを作って頂いた作品はこれが初めてで、直接触れられる皆さんの御意見御感想に驚くやら、嬉しいやら・・・。とくにこのページはかなりの大盛況だそうで、ホントに喜ばしい限りです。
「同盟」に関しては、皆さんの愛情の深さに恐縮しています。そこまで愛して頂ければキャラも本望・・・ただ、前述の通りにキャストの方々も時々覗きにきてらっしゃいますので、御自分の御贔屓のキャラじゃないからといって、中傷などをされるのはどうぞお控え下さいね。読んだ方が悲しくなってしまいます。

＞そして、続編制作のご予定は（考えは）ありますか？

「お願い！偉い人！！」（笑）

次回は劇場版プリーズさんからの質問になります。また日記にお立ち寄り下さい。ではでは。

『日記．26』
2001/07/24

さて、質問の続きと参ります。じゃんじゃんいかないと衰えた脳みそから記憶が溢れてしまいますからね（笑）

しゃおらんさんの質問の続きです

＞コミック版の蛍とアニメ版の蛍、かなりギャップがあるのですが、アニメ版の蛍の誕生秘話をお聞かせ願えないでしょうか？どうしてコミック版蛍のあのヒューモアが消されてしまったのか、疑問です。個人的にはあの「ふっ♪」が見たかったのですが・・・（笑）

え～アニメ化されてフルモデルチェンジされたのが、細と蛍。マイナーチェンジが颯と豪ですね。ここまで到達するにはいろいろな方とのディスカッションがくり返されああなっているので、結構一言で説明するのは難しいです。誰か一人の一存というわけではないので。
あえて一番大きな理由をあげてみますと、まずプリーティアのアニメが決まって１３本という枠を頂戴した時、我々アニメスタッフが構成会議をしたわけですが、その時の結論が、「マンガのストーリーが１３本の中に納まり切らない」ということでした。縦んば納めたとしても甚だ中途半端な物になることは予想できましたし、そんなことをして折角の美しいマンガの世界を壊したくないと思いました。それを見ても、マンガが好きでアニメ化を喜んで見てくださった視聴者の方々が満足できるわけがないし、大体にしてそれはアニメ作品としてどうよ、という思いもありました。アニメは電波にのせてしまうので、マンガを読んでない人も当然見るわけです。そうして見た人が、「なんかわかんない」では話になりません。そうして見なくなってそれでおしまいですからね。
我々アニメ屋としてはアニメを長く見て頂いて興味を持ってもらって、さらに「原作読んでみよう」と思って頂けるのが最高の幸せです。そこで、ストーリーを改造する方向に至ったわけです。
もちろんテーマを変えることはこちらも望んではいないので、マンガと同じテーマを、別の切り口から攻めてみようということで。
ストーリーが変われば、当然それぞれのキャラクターの役割や行動が変わってきます。そのために変更を加えたというのが一番大きいでしょうか。あとは、何ぶん短いストーリーの中ですので、外見の特徴を際立たせることによってキャラを立たせたり、性格付けを容易に判断して頂くことも狙いの一つでした。
そのお陰で、ひと粒で２度おいしい作品になったわけですが、結構それはそれで面白かったかなと。どっちを見てもネタばれになるわけではないので、いつまでも新鮮な気分で御覧になれたんじゃないでしょうか？

ああでも、蛍の外見がああなったのの原因の一つは私が持ってるかも。最初に蛍の変更にあたって、いろいろな案を出したんですが、その時私が描いた例によってヘボいラフを「これおもしろいですよ」と編集さんが気に入ったのが始まりでした。＾＾；
顔グロにしたのも私のわがままだったかも・・・。（汗）まぁ、それはそれで、アニメの独自のキャラということで楽しんで下さい。すみません。
細の髪の色の変更はラストのブラックに対応するためにあえて銀髪にしました。あとは金髪のキャラが多くて色を使い分けることが困難だったというのも小さな理由の一つでしょうか。

ああ、随分長くなってしまいましたがこんなもんでお解り頂けましたでしょうか？説明下手ですみません。

あと、なんで１３話？という御質問は、番組の編成上の理由とかいろいろありまして、私ども現場の人間にはなかなか手の出せない領域ですので申し訳ありませんがお答えできないです。こんなときこそ「お願い！偉い人！！」（笑）

『日記．25』
2001/07/23

さて、ＢＢＳで皆さんに頂いた質問を、イベントで公開した内容も含めて番号の若い順にお答えしたいと思います。
一応ＢＢＳ（過去ログ）から抜き出してコピーしたつもりなんですが、もし抜けちゃってる方いたらごめんなさい。「ぬけてんじゃねーか！ばかやろー！！」って一言言って下さいね。ただ、イベントで公開したもの以外の声優さん方に対しての質問は私はお答えできないので御勘弁下さい。
ではまず
しゃおらんさんからの質問
＞声優さんの中ではアフレコの時に見えない部分（身体）もついキャラに合わせて動かしてしまう方がいらっしゃるそうですが、鳥海さんと桜井さんの場合はどうだったのでしょうか？特に戦闘シーンでの「をおおおおおおっ」とか「ぐはあああっ」なんていうところ、やっぱり・・・？？颯とダーク細のソード立ち振る舞いのシーンの様子も興味あり♪　他の声優さんメンバーのアフレコ時での裏話などもお聞かせ願いたいです。

これはイベントで公開させて頂きました。
鳥海さん、桜井さんは「そりゃ動くよね」とのこと。身を乗り出させるほどは動きませんが・・・（笑）
剣で戦うシーンに関しては、これはイベントで伏せましたが（笑）アフレコの時に見づらい画面の状態だったため、台詞を合わせるのに必死で、体を動かす余裕もなかったと・・・＾＾；
つーか、普段剣で戦ったことがないので、いざアクションしろと言われてもできないよね、とおっしゃっていました。「今日剣で戦わない？」とか誘われないもんね～～とのこと。
アフレコの裏話は、森久保さんの話が多かったですね。
アフレコの時は各話数で「流行りの言葉」なるものができて、まぁ例をあげれば２話の細の「握って」とか、３話の新ちゃんたちの「れろれろ」とかです。森久保さんがそのての言葉を気に入ると、テストの最中ずっとマイクの前に立っている人の背後で「れろれろれろ」とか言っているので、本番になった時につい思い出してしまってみんな笑ってしまうという状況でした。アフレコの後の食事の席でも言っていたので、相当気に入ったのでしょう（笑）

次回はしゃおらんさんの質問の続きをお送りします。「キャラの変更点についてです。お楽しみに。

『日記．24』
2001/07/22

さて、予告通りの報告です。
東京キャラクターショウ・・・暑い中集まって頂いて本当に恐縮でした。
私達も現場の下見とか、事前の打ち合わせとか（当日３０分前に打ち合わせがありましたが）なかったので、お客さん同様、現場にいくまでドキドキものでした。案の定、ステージ降りた後、出口わかんなくなってるし・・・。

しかし、声優さんってほんとすごいですね。ぶっつけ本番でも、ものすごい機転の早さでトークを進めて頂いて・・・普段机にしか向かってない私などは、ああいう現場ではただただおろおろするばかりで、パイオニアの井出さんから途中姫乃ちゃんに司会をチェンジしたのですが、和気あいあいと楽しく進めて頂いてホント助かりましたです（m＿＿mぺこり）。
一応台本はあったのですが、あれ、殆どアドリブです（笑）。進行台本無視で、その場のノリでやってました。殆ど桜井さんと鳥海さんの漫才でしたけど（笑）。キャラクターショウなのに、キャラ忘れてたみたいで、お二人ともまるで地でした。
鳥海さんは本当は別の会場から向かってくるので遅れていらっしゃる予定だったのですが、そちらの進行が早まってプリーティアのステージに間に合ったので、その為に作られた台本は不要になりました。それをネタにしよう！という話になったのは本番５分前で、「鳥海さんいるのに『あれ～鳥海さん遅いな～』とか会場に向かって『あ、鳥海さんがあんなとことに！！』とか言っちゃおうか」とか、「鳥海さん全くいじらなかったり」とか舞台の袖で話していたところ、キャラショウの進行さんが「じゃ、僕がカンペ出しますよ」ってノリノリでネタに加担してくれました（笑）
皆さんに頂いていた質問事項は、てっきり司会さんに質問されるものと思っていたのですが、急きょ私が質問する立場になってたりと、意外なこと三昧でしたね。男性のお客さんもいっぱいきて下さったし・・・。
意外と言えば鳥海さんが蛍の真似（かなり照れ照れで）をしたりという、超稀なアドリブもありました。
会場には風プリのコスプレしてた娘さんもいて、（娘さんって、オイ）ちょっとうれしかったですね。声をかける機会を逸してしまいましたが、大変だったでしょ？ありがとうございました。
会場にいらっしゃった皆さんは楽しんで頂けたでしょうか。

第２部のサイン会でなされた会話は、私はステージ下にいたので聞き取れませんでしたが、その辺はどうだったんでしょうか佐藤さん。

次の日記では、皆さんに頂いた質問の返答、（会場で答えた物も含めて）ぽつぽつと綴っていきたいと思います。ではでは、次回もまた日記をお訪ね下さい。　

『日記．23』
2001/07/19

BBSのみなさんの書き込みの中に、ナイツのイメージソングの話題がのぼっていたようなので、今回はそれについてちょっと。

作詞をして頂いた里乃塚さん・・・私は今回お仕事御一緒させて頂いたのは初めてなんですが、最初にあがってきた詞を拝見させて頂いてめちゃくちゃ感動しました。
ナイツの歌を作る時には私どもの方からも当然「このキャラはこんな感じ」とか、「こんなシーンの時に使いたい」とか、「芸能人で言えばこんな感じ」（笑・携帯の出合い系サイトじゃないないんだっつーの＼＾＾；バシッ）とか、それこそ言いたいこと言いまくってしまった上に「おい、ほんとにこんなことで判ってもらえるのか？」という程説明がほにゃららだったと思います。
と～こ～ろ～が～！！
あがった詞はそれはもうドラマチックでまさにナイトって感じで・・・「そう、こうだよね～、そうだよね～」とプロの仕事にめちゃくちゃ感動したのでした。
私も里乃塚さんの詞、大好きです。すごく繊細な感じがしてときめきます。（年甲斐はおいといて＾＾；//）
作曲の大森さんも初めて御一緒させて頂きましたが、初めて本編の曲のデモを聴かせて頂いたとき、「なんてしみる曲をかかれる方なんだろう、あ～プリーティアやってこんな人とお近づきになれてラッキーだよな～～！」とか本気で思いました。（勝手に近付くなっつの--；）

だから！いや、もうホントお勧めですよ。絶対損しないから！

ところで・・・え？くしかつ？そうなの？
そこんとこちょっと知りたいです。誰か教えて～～～。

『日記．22』
2001/07/16

この間、ついに念願のノートパソコン買いました。これで、結構頻繁にメールのチェックとかできるぞ～、わ～～～～～いとか思っていたのですが、まずぶちあたったのが、モバイル電話との接続ケーブルが・・・ない。
私の使っている携帯電話の会社では、 Macのドライバーをサポートしてないって言われちゃったんです。（電話のショップで。）まぁ、純正のものでは、という意味なんですが。
「そんなばかな！」と散々探しまくりました。
かれこれ一週間くらいかかったでしょうか。とても親切な店員さんが、（電話のではなくてパソコンの）秋葉まで行って探してきてくれました。
ありがとう店員さん！！ほんとすごいよあんた。ブラボー、ハラショー！んでもって嬉々として接続してみると・・・遅い。むっちゃ遅い。
有線だとしょうがないのかもしれないけどインターネットとかやるのにはかなりのストレスたまりますね。その親切な店員さんにも「僕もケーブルで接続してますが、すごい遅いですよ」と忠告されていたのにも関わらずほいほい購入してしまった自分が憎いです。しかも、もっと重要な失敗が・・・。
私の電話に対応していないのです（T_T）/オイ。
夫の電話を使用して動作確認はできたものの、少し前の私の電話ではその遅い通信すらできない。ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁもうばかちんが～～～！
今度は携帯の機種変更です。もっと計画的に買い物しろよ、全く。

『日記．21』
2001/07/05

前回の日記にみなさんいろいろとコメント頂きましてありがとうございました。それとすみません。言い訳のようですが、決して愚痴のつもりで書いたわけではありませんので、お気を悪くなさらないで下さいね。ただ、皆さんがプリーティアを愛して下さったのと同じように、我々現場のスタッフも愛しています、とお伝えしたかったのです。
それに、「悩んでいる事」と書いていますが、決して辛い事ばかりではないのです。そうした葛藤があるからこそやりがいのある仕事ですし、できあがった作品に対しての愛情も深まるので。

では、予告通り映像の「行間」についてお話させてください。
映像は文章ではないので行の間はありませんが、あえてそれに対するものをあげるとすれば「裏設定」、「裏芝居」と言われるものでしょうか。
この二つの言葉は似ているようですが意味あい的には微妙に違うと思います。「裏設定」とは、キャラクターに行動させるための原理となる、本編上には表現されない設定などのことですね。例えをあげれば、プリーティアの＃３で「さすがワーズゲートの細だね」と言われた時の細の表情などは、「貴子のことに対してトラウマを持つ」という裏設定に基づいたものです。
もう一つの「裏芝居」は、シーンとシーンを繋ぐ際、あえて表現しなくとも充分起こった事や、心情の変化を理解する事ができる場合その芝居をわざと描かずにおくことです。これも例をあげればプリーティアの＃１０と＃１１の繋ぎ。＃１０で仲間を失って傷心したリーフェナイツと姫乃が、＃１１の始めでは戦闘をしていますが、彼らがそこに到達するまでの葛藤は、御覧の皆様が充分に想像してくださったと思います。
このように、映像でも行間を読ませる手法が使われていたりするんですね。
「裏設定」などは、伏線として使って後々明かされる場合と、最後まで明かされない場合とあります。これは、「明かさない方」が効果的な場合があるからですね。映像は視覚的情報なので、非常にイメージが限定されてしまいます。描き過ぎることによって世界が狭くなってしまう危険性もあるわけです。しかし、この設定、この芝居には実は「裏」があるんだと、その情報だけ用意する事ができれば、「裏」の世界は見る人の数だけ無限に広がります。その広がっていく世界をこうしたＢＢＳなどで拝見させて頂くのも作り手側の楽しみの一つだったり・・・（笑）。
でも描き過ぎないと逆に伏線すら気付いてもらえないし・・・バランスが難しいですね。奥が深いです。
ああ、また長々書いてしまいました。ウンチクたれでごめんなさい。さて次は何を書こうかな。

『日記．20』
2001/07/03

さて、前回の日記の続きです。演出になって悩んだ事・・・いや、今も現在進行中です。悩んでいます（笑）

一番は尺のこと。尺というのはフィルム用語で画の長さのこと・・・簡単に言えば映像の時間の事です。
ビデオにしろテレビにしろ媒体がなんであれ使える尺は決まっているので、その尺をどのように使っていくかが何年キャリアを積んでも拭い去れない悩みです。
例えば小説などもページ数などに制限はあるのですが、読むスピードは読み手側の自由なので余韻を楽しむことも自由自在です。これを私などは「行間を読む」などと表現したりしますが、行間・・・つまり書面に書いていない見えない部分を自分で楽しむということです。
映像の場合、今はビデオなども発達しているので後々にはそれをすることも可能ですが、初見でそれをする人はまずいないし、テレビなどをリアルタイムに見ていては不可能です。それにシーンの間合いを調整することはできても、台詞の速さまでは調整する事ができません。乱暴な言い方をすれば自分の（作り手側の）タイミングを押し付けるということですよね。
どのシーンにどれだけの尺を割り振るかは演出家やコンテマンのセンスにかかってきてしまうので、いつも頭を痛める部分です。誰にもしっくりくるようなタイミングなんて存在しないので、正解がどこにもないから。
最終的に自分で決めたコンテでも奥歯を噛み締めたくなることすらあります。尺に収めるために削らねばならないシーンがままあるからです。とくに原作ものなどの監督をする時に生じるストレスですが、既に形になっているマンガなどは、漫画家さんのこだわりが痛い程わかるので時に無性に辛くなる時があります。
どれもこれも描きたい・・・でもそれは不可能。本当はどれか一つなんて選べないのに選ばなくてはならないジレンマ。でもその中で最大限自分の言いたい事をアピールできるように日々精進するのが映像を生業にしている人間の宿命なんでしょうね。と、言う事で何が結論として言いたいかというと、「プリーティア」でもまだいろいろ試したいことが盛り沢山ということ（笑）。成瀬さんのマンガの中のお気に入りのシーンとか、アニメのオリジナルのエピソードも・・・てな訳で、お願い！偉い人！！次回は、「映像における行間」の話をちょっとしようかと思います。ではまた。（日記と言うより手紙だよ、これじゃ）

『日記．19』
2001/07/01

随分間が空いてしまいました。筆が遅くて済みませんです。
まだDVD用の作業とか、イベントとかやることは少し残っていますが、
初シリーズ（笑）お陰さまで終了することができました。制作中は頭に血が上っていたせいか、終ってみると脱力感というか、すごくもの寂しいです。
最終回は本来のフォーマットを変更してオープニング、エンディングの分タイムが長かったので、
作業量的にも何％か上乗せになっちゃって、作監さんを始め現場の方々には大変御苦労をおかけしたと思います。本当にお疲れ様でした。
最後の最後・・・本当に切迫している最中に、以前お仕事で御一緒させて頂いた作画さんが、「これも何かの縁」と助けてくださいました。その作品の時、私コンテきっただけなのに・・・ホントに大した事できなかったのに・・・涙が出そうになるくらい嬉しかったです。演出になってよかったとすごく思いました。これから何かお返しをする機会があれば、是非この御恩をお返ししたいと思っております。

前述の事にもからんできますが、今回私が演出になってよかったこと、悩んだ事を軽くお話してみようと思います。先程書いたように、演出という仕事上沢山の方と接する機会があって、いろんなことを学ばせて頂いてます。それは技術的なことであったり、人間関係的なことであったり・・・。今回のように仕事でのおつき合いがその場限りでなく次へと続いていく・・・最高に嬉しいです。良い作品を作る上では現場の信頼関係は必須です。途切れない人間関係はその証だと思うので、それを感じられた時は自分にも少し自信が涌いてきて作品にかけるパワーになります。ホント有り難いです。
逆に演出になって悩んだ事・・・これは人間関係にはあまり関係無くてどちらかといえば個人的なことですね。自分が「映像をつくる」という仕事の上でどうしても避けられない葛藤です。
これに関してはちょっと長くなっちゃったので次回にまわします。
ではまた。