佐山監督日記

『日記．16』
2001/05/27

今回は現場にはあんまり関係ない話ですが、最近すごいなぁ・・・と思う事。一般家庭に普及している電化製品などの技術の進歩と、それを扱うユーザーの順応性の高まり。
例えば携帯電話。最近の携帯電話・・・音楽聴けたり写真を撮ったり・・・なによりもまず、めちゃくちゃコンパクト！
私は仕事上まだトランシーバーみたいな形状の頃から携帯電話を使用していますが、当時はまさかこんなことになろうとは夢にも思いませんでした。大体一般に普及するなんてありえないとさえ思っていました。あ、でもそういえば、ＣＤが発売された時も同じように思っていたから単純に先が見えてないだけかも（苦笑）。
あとパソコンの普及もすごいですね。今や学校の授業でも教えちゃうくらいだもの・・・。そしてそれを使いこなすユーザーの順応性の高さにびっくりです。でもそのおかげでどんどんハードは安くなるし、機能は向上するし、ソフトは充実してくるし・・・これからもどんどん技術は進歩してくるんでしょうね。
そうなってくるとデジタルアニメーションの可能性もどんどん広がって現在よりもさらに上質なムービーを提供できるようになってくる・・・楽しみですね。デジタルアニメーションが始まった頃はやっぱりその画像の質感の違いから難色を示す人も多かったのですが、多分私もそのうちの一人だったかも。でもフィルムにはフィルムの、デジタルにはデジタルのよさがそれぞれあると思います。そもそも違うものなのだから比べる事事体がナンセンスで、どちらかに傾倒し過ぎるがゆえにその良さを見のがすことのほうがつまらないと最近は思うようになりました。そのよさに応じた環境でそれぞれを使い分ければいいことなので。
しかし、上質なデジタルアニメーションを提供するためにはハードの向上だけでなく私達現場の人間の知識の向上も望まれる訳で・・・これからの大切な課題です。もう少し頑張らなくちゃ（^^;）

『日記．15』
2001/05/23

姫乃のお母さんの花について。
姫乃のお母さんの花は、アニメのオリジナル設定なので作る時にちょっと悩んだ記憶があります。お母さんのイメージで花を設定するにはお母さんの出番があまりに少なかったので、見ている方々に花＝お母さんと印象づけるのが難しかったからです。そこで、「昔お母さんと育てた花」ということであれば、姫乃がずっと大事にしているのも頷けるのでは・・・？と、そう言う設定になりました。
そうなると、今度は花の種類です。一緒に育てる花って何だろう・・・あまり月並みな花でもなんだし、何か花事体に姫乃と一緒に育てる意味とか持たせられないものだろうか。鉢植えで簡単に育てられてなおかつ特殊性のある花・・・。
そこで見つけたのが現在の設定の「ヒメノボタン」。名前でバビッときました。
ちなみにヒメノ・ボタンではなくてヒメ・ノボタンですが・・・。
ノボタン科の花でつるに咲くお花です。
もともとお母さんがこの花が好きで、姫乃にそれにちなんだ名前をつけたのか、姫乃の名前に似ているお花があるのよ、と教えながらこの花を育てたのか・・・どちらにせよ姫乃にとっては印象深い花になるんじゃないかと。ホント裏の裏設定ですね。説明されなきゃわからんよ・・・ってすみません。（^^;）
ありがとうヒメノボタン。なんだそりゃ。

『日記．14』
2001/05/19

今日のテーマは＃６に出てきた武器、「光のチャクラム」について。チャクラムは日本名にすると「戦輪」と呼ばれるとある地方の武器で、読んで字のごとく戦いに使用する輪ッかです。
鋭利に研がれた石や金属製の輪ッかを指にくぐらせて、くるくるとまわして加速度をつけ、その勢いで投げるといういたって原始的な武器ですね。ただしそれではアクション的にあまりさまになりませんので、本編上では５本の剣がついたブーメランのように描いています。

この話数に限った事ではないですが、プリーティアの中で姫乃が使用する武器は、名称とビジュアルが正確ではないことがあります。これはビジュアルイメージ（持った時のポーズとか、使用する時のアクションとか）を重要視したり、台詞にした時（声に出して読んだ時）の響きを重視した時に調整を施した結果です。
例えば「氷のアーキュバス」。みなさんもお察しの通り、日本語に直せば「火縄銃」です。しかしこの場合は火を付けて、弾込めてとかのシステム云々より銃を持っているポーズと必殺技を叫ぶ時の語感のほうが大事でした。銃を持っているポーズは一つくらいは欲しかったのでフォルムは決まりですが、あとは呼称。「ショットガン」とか言ってしまうとあまりにストレートすぎてちょっとロマンチック度が下がるような気がする・・・ということで、銃の形状をもちつつも、響きがきれいな印象を持つ言葉として「アーキュバス」を採用しました。だから、どこで火を付けてとかのシステムはありません。
そして＃６で使用した「チャクラム」ですが、始めはバズーカのようなものでした。しかしバズーカは持った時のフォルムが見栄え悪いし、だからといってライフル程度のものにサイズダウンしてしまうと、アーキュバスとかぶるし・・・。なるべくそれぞれの武器を見ためからかぶらせたくなかったので、今まで使った事のないような形状のもので、やったことのないアクションで・・・と考えた結果「投げものはまだやってなかった！」と気付きこうなりました。
語感もブーメランよりは聞いただけではその形状がわからないようなもののほうがいいと思ってつけました。
たしかフレイルの時もそうだったような・・・。打ち合わせの時は形状通りに「ウイップ」でしたし。

『日記．13』
2001/05/10

今回の日記はアニメ現場裏話、「繭根編」でも。
いじわる姉さん繭根・・・アニメではおバカさん度グレードアップしていると思いますが、実は構成当時設定として話題に上っていながら、アニメの中でも描ききれなかった裏設定があります。
まずは学校での立場。彼女は姫乃と同じ学年なので当然高一ですが一年生でありながら生徒会長なのです。（アニメオリジナル設定ですが）まぁ、選挙とかでなく権力（親の）をふりかざした強引なものですが・・・。
彼女の制服の設定が姫乃と違うのはその名残りですね。
そして、彼女は生徒会長になった時に自分用にと生徒会室を改築しそこには何故か専用のシャワールームが・・・（笑）もちろん金ピカ。
学校での高尚な誘惑作戦の話もありました。＃１で出てきた姫乃のクラスメートの意地悪っぽい３人組も生徒会メンバーで、学校では常に繭根の後ろに控えていていろいろやらかすはずでした。
そして散々シャワー三昧で一つも成功を見なかった繭根の新たなる作戦なんかも・・・。当然シャワーよりグレードアップしないと、ということで提案したのですが、「それは放送できるぎりぎりかもしれません」とその時誰かにたしなめられたような気がします。なので、文章にするのも控えます。（^^;）

『日記．12』
2001/05/03

佐藤総監督に勝手にプリート（笑）
タブレットで直接お絵描きですか・・・。私はちょっとできません。私、何故かものすごく筆圧が高くて、タブペンで実線をひくとペン先を壊してしまうのです。実際普通にシャーペンとか使っていても先の金属部分を曲げてしまって買い替えたりしています。
っていうか私が絵を描く事事体コンテ以外ではあまりないのですが・・・。
ああ、そう言えばプリーティアの本編中で、よく真綿ちゃんが読んでいる音楽雑誌は私がパソコンで描いたものですね。表紙は人物だけ紙に描いてスキャンして背景はパソコンで一発描き・・・人物のペイントもパソコン上でやっています。裏表紙は完全に一発描きですが、本編上では殆ど見えてませんね（笑）。確かに失敗しても簡単にやり直せるので、非常に便利ですね。ただ未だにペイントに関しては直接紙に描いた方が速いと言うのがちょっと苦しいとこですが・・・。

前々回の日記の補足。業界の就職云々について。
私、別に専門学校事体否定するつもりはないです。何か文章が否定的だったようなので言い訳させていただきますが・・・。
学校で得られる知識もすごく役にたつこともあるんです。何より心構えができるので、精神的にも余裕ができるというか・・・。もっとも大きなメリットは、就職口を斡旋してもらえることでしょう。私もその学校にいくまではアニメの会社に接触する方法など全く知りませんでしたので、大変助かった記憶があります。
旅行に行く時でも必ずガイドブックを買って下調べしてから企画をたてるタイプの人には絶対お勧めです。前回の日記の内容は業界いりしたいけど今から専門学校とか行くのもちょっとなぁ・・・という人に向けてのメッセージです。
私の知り合いでも２６、７歳から業界いりした人もいます。年令とかは全然関係無いですよ・