佐山監督日記

『日記．11』
2001/04/29

杉並アニメフェスティバルについて。
日曜日、雨も降り出したと言うのに盛況で本当に有り難い限りです。私などはちらりと顔を出した程度なので、大して苦でもなかったですが、準備からずっといろいろやってくださったスタッフの方々は大変だったと思います。お疲れ様でした。

アニメフェス感動の一幕。
私達が（佐藤総監督、私、伊藤郁子さん）ブースの前でたむろしている時、一人のお子さんが泣きながら親御さんと一緒に入ってきました。どうやらもらった風船を割ってしまったのがショックだったよう・・・。なかなか泣き止んでくれないお嬢ちゃんに佐藤さん、いきなり地べたに座り込んでクリアファイルにマジックでお絵書き
「ほら、どれみちゃんだよ～～～」
まだ啜り泣くお嬢ちゃん、佐藤さんさらにどれみちゃんの手に風船持たせて
「ほらここに風船あるよ～～～」
お嬢さんついに泣き止んで、お礼を言って帰っていきました。さすがお父さん。子供さんに目線を合わせて地べたでお絵書きするところなどはもうホントさすがとしか言えません。感動しました。
きっとあのお嬢さんの中で佐藤さんは王子様のごとく心に焼き付いていることでしょう。

『日記．10』
2001/04/28

ＢＢＳの方に業界の（制作者サイドの）ことについて話題に上っていたようなので、今回はちょっとそれに触れてみようかなと思います。

まぁあまり参考にならないかもしれませんが、私の業界いりのいきさつ。私はもともと学生の時分は演劇が好きで友人といろいろやったりしてました。一時は役者になりたいと思った事もあります。映画とかテレビとかより舞台。舞台俳優になりたかった。

ステージという限られた狭い空間を、無限の空間に変える・・・そこは街であったり部屋であったり山であったり海であったり・・・そんな可能性を見つけるのが私の中で物凄い魅力でした。でもある時ちょっとした事故で顔面骨折・・・役者の道は諦めました・・・てのは冗談。顔面骨折は真実ですが（笑）。実際は芝居をやるうちに、段々演じるよりその世界を構築していくほうに興味が移って、脚本家になるべく、映画の学校に通いました。在学中に映像の方に興味を持ち始め演出の道へ・・・。

まぁ、学校でいくら知識を仕入れたからといって実際の現場ではただのぺーぺー、ずぶの素人です。すぐに演出になれるわけではありません。そこで制作進行をやりながら現場で演出のノウハウを盗むことにしました。そしていまここに生き残っています。

私はたまたま学校に通ったりしていましたが、別にそれが必要というわけではありません。先にも述べたように学校で学んだ知識はあくまでもデータでしかなく、現場にはいってみなければそのデータの使い道も、使えるデータなのかもわかりません。重要なのは本人のやる気・・・ものを作ろうという意欲だと思います。
アニメの制作現場にはこれといって必要な資格があるわけではありません。（制作進行がやりたい人は普通免許が必要ですが）興味のある人はとりあえず制作会社の門を叩いてみるのもいいでしょう。それぞれの会社で雇用条件は違うのでどうすれば採用されるとは言明できませんが、「やりたい」という熱意・・・それが一番のファクターかな？

長々と書いてしまいましたが時々こんな話もしていきたいです。折角頂いているコーナーなので、何か皆さんの疑問を少しでもはらすお手伝いできると嬉しいです。

『日記．9』
2001/04/25

このコーナーの題名「プリート日記」の名の通り、今回は佐藤さんの日記から話題を頂きます。
「チューブ」ですか・・・語源は何なんでしょう？チューブを使ってやってるわけじゃないですよね？うちの方では普通に「ゴム段」でしたが・・・。いわゆるパンツのゴムなんだ、これが。
私が子供の頃に流行っていた女の子の遊びといえば「チェーリング」でしょうか。プラスチックの輪ッかを繋ぎ合わせて束にして、お手玉のようにして使う遊びです。インドアな遊びなので、雨の日とかだったかなぁ。外でやる遊びはまぁ、先の「ゴム段」とか「案山子」。かかしはかかしの絵の中でやるけんけんぱですね。あ、ビー玉もはやったなぁ。プチボーリングかプチビリヤードみたいで面白かった。

今の小学生の子とかは何やって遊んでるんでしょうかね。私にはまだ子供がいないのでその辺のことはなかなか知る機会がないのですが、佐藤さんのお子さんとかはいかがですか？

『日記．8』
2001/04/23

今日はキャラクターのちょっとした裏話。初の私服についてです。

私、実はとっても牛柄マニアです。リュック牛柄で、そこから次々とでてくる牛柄グッズ。財布はもちろんの事化粧ポーチや鏡、ハンカチやキーホルダー・・・家の中ではシーツやタオル、パソコンのモニターも牛のカバーをかぶっていますし、デスクトップピクチャーも牛柄。
今日も見かけたシルバーアクセサリーのお店で牛柄の財布を見つけて購入しました。そして取り出した財布も牛柄なので、お店の人に「よほどお好きなんですね」と苦笑される始末。
「あそこに牛柄あるよ」と言われただけで、とりつかれたようにフラフラと行ってしまう私を不憫に思ったのか、キャラデザインの小林さんが初の私服を牛柄にしてくれました。
小林さんはお人形の洋服をつくる特技をもってらっしゃいまして、牛の着ぐるみをきたバービーちゃんを頂いたこともあります。
そういえば私のてがけた作品を見るとどこかに必ず牛グッズがあるかも・・・。きっと各作品の作監さんが、みんな不憫に思っているのでしょう。
でも、某作品で買い物してるシーンの背景にある鞄がみんな牛柄なのにはちょっと笑ったな。やりすぎました・・・。

『日記．7』
2001/04/20

佐藤さんの日記の方に書いてあるダイエット・・・実は私もやっていました。最初の一ヶ月で4キロくらいやせたので、「これはいける！！」といい気になって佐藤さんにお勧めしました。でも10キロなんて痩せる訳ない！！ずるいです、佐藤さん・・・（ぐっすし）
元々ダイエットを決意したのはやはりテレビの撮影がきっかけです。でも私の場合、撮影が終了した後だったんですけど・・・。
進行役を子安さんがやってくださったメイキングものだったんですけど、何故かカメラが床に設置してあるんです。なもんでものすごいアオリになってて、身体にパースが・・・。「ただのガタイのいい女やんけ～～～～～！！」

次の日からミッションがスタートしました。ちなみに佐藤さんが成功したダイエットは、私の4つめのミッションです。

『日記．6』
2001/04/19

作業が落ちついてきたので、ちょっと会社の机まわりの片付けなどしてみました。
シリーズものなどを一つ終わらせると、結構身の回りに、紙物の山が増えます。コンテやら、ＡＲ台本やら・・・。手のすいた時に片付けないと仕事しづらくなったりするのでチャンス！とばかりに、プリーティアの前にやっていた作品のコンテの束を片付けていると、壁の隅に何やら黒い物体が・・・。
何だろう。毛が生えてるぞ。とりあえず５分程ながめてみる。動かない。それではと定規でつついてみる。やはり反応がないので、３ｃｍくらいまで接近してみる。
あっ！虫だ！！何か知んないけど虫がまるまってる！！自分で触るのはイヤなので、近くにいた制作の大槻さんを呼ぶ。（オイ）大槻さん、ティッシュで掴んで、「これは、この間２階を飛び回ってた、くまん蜂ですね」

現場からのお願い。危険なので、くまん蜂は放置しないでください。

『日記．5』
2001/04/15

前回の日記、誤字がありましたね。いやすみません。うっかり・・・。

先日、現場に取材の方が来ました。佐藤さんがゲストで出られる「アニメ館」の中でプリーティアの話題もでるということで、スタジオにつめているメイン女性スタッフ（私と総作画監督の小林さん、色彩設計の川上さん）が取材を受けました。全員に同じ質問があって、「佐藤監督はどういう方ですか？」というのにはちょっと困りました。これって御本人は確実に御覧になるものじゃないですか。答えによっては顔を合わせ辛くなったりとか・・・普通に答えればいいんですけどね。詳しい事は番組を御覧になっていただけるとおわかりになるかと思います。ということで今日は佐藤さんの話題。

取材が終った後、「セーラームーン」や「まほTai」の伊藤郁子さんも加わっての会話。（系省略で失礼します）

伊藤「佐藤さんの方の収録は終ってるんですかね」
小林「スタジオ収録なのかな・・・そもそもどんなコンセプトなの？」
川上「いろんな監督さんの紹介とかするんですかね。じゃあ、スタジオとかじゃなくって佐藤さんの自宅とかで撮ったりして・・・素顔に迫るために」
佐山「ああ、なる程。んでお子さんがばーんってお風呂からそのままでてきちゃって佐藤さんがバスタオル持って追いかけるんだ。『いいお父さん』の素顔を・・・」
小林「全然アニメに関係ないじゃん」
川上「僕はこんな幸せな環境でアニメ作ってるんだって」（一同小笑）
川上「やっぱ銀座で豪遊してるとことかじゃないと」
伊藤「佐藤さんに銀座で豪遊ってのは似合わないでしょ。近所の焼き鳥屋とかだったらわかるけど」
佐山「焼き鳥屋で豪遊ってどんな・・・？」
川上「ハ、ハ、ハ、ハ、ハ、ハツ下さい！！」（一同爆）

本当は佐藤さんがどんな方なのか・・・御想像にお任せします。

『日記．4』
2001/04/14

うちのパソコン･･･メチャクチャ調子悪いです。もう再インストールしかないかも。みなさん、バックアップはとっておいた方がよろしいですよ。

先日の日記のまたまた続き。「完全無欠のヒーロー」が求められているか否か。前回の日記ではちょっとニュアンス違ったかもしれないです。「ヒーロー」としてなら、それはアリですよね。無敵で、カッコよくて、無口で･･･。でも恋愛対象（彼氏にしたいタイプ）としてはどうかな～という意味です。何やらせてももの凄く器用で、お顔も麗しくて、お背も高くて、非のうちどころがない上に、こっちの非に対しては全く指摘することもなく、優しくあたたか～く見守ってくれるような人･･･。いや、全国探せばいるかもしれないですけど、まずお会いすることはないでしょう。例えばお会いしたとしたら、その人きっとかなり無理してるんじゃないかな～と。自分をカッコよく見せ続けるのって、すごくエネルギーいると思うし、尊敬してしまいますが、自分の好きな人がそんな無理するのってちょっと見てて辛い･･･とかありませんか？別に自分の前でくらい服にしょうゆこぼしちゃってもいいのになんて。慣れない高級レストランより、家でポテチ食べてる方が自分も楽だし、相手も楽してもらった方が空気もやわらかくて気持ちいいし･･･。ってこれ自分の恋愛感じゃん！（恥）ずらずら書いてしまいましたが、まぁ見栄をはり続けるのも強さだけど、はずかしい部分をさらけ出すのも強さだと思うんですわ。どっちの強さにひかれるかは人それぞれだけど、どっちもそれなりにカッコイイと思ってます私。だから私の描く男性って、結構おマヌケさん多いかも。バカにしてるんじゃなくて、愛情なんです。
同じような考え方の女性っているんじゃないかな、きっと（いない？）
世の男性の皆様、キムタクに似てなくても全然ダイジョーブ！！ホントに小さなクセとか行動が誰かのヒーロー像にある日突然ストライクするんだと思います。

『日記．3』
2001/04/10

佐藤さんの日記に書いてある日曜日の祭典（？）には私も居りました。本当に感動しました。お二方は幸せそうだし、あわ踊りはすごいし・・・でも翌日、右腕が筋肉痛で・・・何故でしょう？ちなみに一緒に踊ったわけじゃないですよ。

前回の日記の続き。男性と女性の考える「トキメキ」のポイントの違いについて・・・。ネタバレになっちゃうので内容の詳しいことは避けますが、本編のあるシーンで颯が恥ずかしさにもの凄くうろたえるのがあって、それを男性陣は「カッコ悪い」、女性陣は「グッとくる」と言っていたんです。まぁ、何が言いたいかというと、男性は結構女性に対して、カッコ悪いトコロを見せちゃいけない・・・というような、なんか肩肘はったようなトコロがあるみたいですが、女の子は別に常にカッコイイというか、完全無欠のヒーローばかり求めていないんじゃないかな・・・って思います。ああ、長くなっちゃった・・・続きはまた後日・・・。

『日記．2』
2001/04/09

すみません。ずいぶん遅くなってしまいました。日記なのに週期・・・ホントすみません。１話放送からＢＢＳの方にはイロイロな御意見、御感想頂いてウレシイです。もうすぐ２話放送・・・これからそれぞれのキャラの個性も、たってくると思いますのでご期待ください。

プリーティアを見てくださっている方々の中には男性の方もいらっしゃるのでしょうか・・・？現場の声優さんは、男性女性がほぼ半々なので意見がぶつかって面白いです。女性サイドからは「こういうのグッときます」とかいうのが、男性サイドからは「？」だったり・・・。男性の考えてるカッコイイ男と女性の考えてるカッコイイ男って、必ずしも符号するものじゃないんですね。
くわしいことは、また後日・・・。

『日記．１』
2001/03/30

ついにホームページ開設ですね。すごく楽しみにしていたので嬉しいです。

え～～～っと・・・日記・・・日記ですか・・・。日記書くのなんて小学校のしかも宿題以外ないので、きっととりとめのない文章とかわけのわからない内容とかになってしまうと思いますが、お許しください。ティーンエイジャーに何かためになるようなこととか書ければいいですが、何ぶんオムツが・・・もとい、おつむが弱いので・・・。

まず初めなので、「新白雪姫伝説　プリ－ティア」・・・私がこの作品に携わるまでの経緯（そんな大したことでもないですが＾＾；）でもお話させていただきましょう。　

総監督の佐藤さんとは、以前何度かお仕事御一緒させていただいております。佐藤さんが監督された作品だったり、別の方が監督されている作品にたまたま話数続きで御一緒したりとか。　

取材などでもよく聞かれることですが、私がなぜこの作品のC.Dに選出されたかについては、そりゃ佐藤総監督にしかわかりません。ただ先日、某打ち合わせの席で同じ質問をされた時、その理由を聞く機会がありました。

「少女マンガ原作だし、純粋な少女向けアニメを作りたかったんだ・・・けど」

けど!?けどって何!?・・・私が不純ってことかしら・・・!? この真意も佐藤総監督にしかわかりません。

最近は業界内でも女性の演出家が増えてきて、以前に比べるとそんなに珍しがられることも少なくなりましたが、それでもやはり男性よりは全然少ないのが実情・・・。そんなことも理由の中にはあるとは思います。でも・・・でもね、女性の演出家が「女性的」であるとは限らないのです。ふふふ。

「プリーティア」は、結構女の子の内面を抉っていかなきゃ見せられないドラマが多くて、自分の恋愛観やら、経験などを表面化しないとならない局面もあり・・・命がけです（笑）

とくに、お世辞にも真っ当とは言えない十代を過ごしてきた私には脳が沸騰するような・・・

もとい、やりごたえのあるお仕事ですね。等身大の女の子を描くのにどうすればいいのか・・・日夜奮闘です。アニメファイトクラブ状態です。でもそれが結構気持ちよかったりして・・・。

根っからの体育会系なんですね。私。

体育会系で男らしい女演出家が描く十代のラブロマンスがどう展開するか、みなさんどうぞお楽しみに。