「リアル鬼ごっこTHE ORIGIN」

時は、西暦3000年。20人に1人が佐藤という姓を名乗っていた、ある王国に150代目となる新たな王が即位した。新たな王様は、自分と同じ佐藤姓が500万人を突破したことを知り、佐藤を減らすためのあるゲームを思いつく。それは、全国の佐藤に、鬼ごっこをさせ、鬼に捕まった者は、処刑されるという『リアル鬼ごっこ』だった。

悪夢のような1日目が終わった。一夜にして惨い光景を目の当たりにした佐藤翼は、ふと、父・輝彦が一人で暮らす実家を訪れる。酒を飲んでは家族に暴⼒を振るい、一家をバラバラにした輝彦。父に対して複雑な感情を抱く翼に、輝彦は冷たい言葉を浴びせる。耐えられずに家を飛び出した翼は、同じ「佐藤」姓の親友・洋と再会する…。

翼の妹・愛は、母方の「鈴木」姓から「佐藤」姓に戻り、鬼ごっこの捕獲ターゲットとなっていた。翼は長い間疎遠だった妹に会うべきか迷うが、洋に後押しされ、彼女を引き取った叔⺟夫婦の家にたどり着く。しかし、家には誰もいない。愛宛ての年賀状を見つけた翼と洋は、方々に電話をかけ、愛の足跡を知る人物・純子に出会う…。

翼と洋は愛の行方を追って街で聞き込みをするが、一向に手がかりが掴めない。職場の先輩たちに手助けを求めた洋は、自分を可愛がってくれていた彼らが「佐藤」との関わりを避けようとする態度に傷つき、喧嘩をしてしまう。一方、モニターで鬼ごっこの様子を見ていた王様は、鬼に捕まえられた佐藤姓の女性を王宮に呼び出すが…。

翼と衝突した洋は、中学時代の同級生・佐藤隆幸と行動を共にすることに。隆幸は洋に、いざという時に自分たちが助かるための“生贄”として「佐藤」姓の仲間を探そうと提案する。同じ頃、一人で愛を探していた翼は、洋の職場の先輩に声をかけられる。協力を拒んだはずの彼から手渡されたのは、愛の目撃情報が書かれたメモだった。

ついに愛と再会した翼。洋は、気まずさからギクシャクする兄妹を和ませようとする一方で、密かに右足首の激痛に耐えていた。しかし、3人が身を隠していた倉庫に鬼が侵入する…。王宮では、王様が鬼ごっこのターゲットの中から“運命の人”とするべく女性を呼びつけては殺していた。そして、モニターに映った愛の姿に目をつける。

高熱を出した愛を看病していた翼は、窓の外に不審な男を目撃する。翌日、入浴中の愛の浴室に、逃走経路を記した手紙が投げ込まれた。その筆跡が捕まったはずの父のものと似ていることに気付いた翼は、再び実家に戻り真相を確かめようとする。一方、彼らの背後には王様の側近・高橋が差し向けたある男が近付いていた…。

衰弱した父を病院に運んだ翼と愛は、その病状を知り愕然とする。一晩だけ入院を許された父をかくまうため、二手に分かれて鬼を撹乱させる翼たち。しかし、連日の鬼ごっこでターゲットは激減し、鬼の数は増えるばかり。そこへ追い打ちをかけるように、愛だけを狙う“赤鬼”が投入される。果たして、翼は家族を守ることができるのか!?

鬼ごっこ終了まであと2日。愛の捕獲失敗に腹を立てた王様は、新しいルールを発令する—。久しぶりに自分のアパートへ戻った翼に、陸上部の友人・吉田大介が協力を申し出る。翼と愛は大介とともに、父が遺した逃走経路のアジトに向かう。その頃、高橋は捕らえた「佐藤」の中から再び“赤鬼”を選んでいた。その人物とは…。

愛とともに崖から落ちた翼は、愛を山小屋に隠し、自らオトリとなって走っていく。そんな翼の前に“赤鬼”が現れる。だが、双方の距離は縮まることも離れることもなく、赤鬼には翼を捕まえようとする気配がない。翼が赤鬼の目的に気付いたその時、無情にも鬼ごっこの終了時刻は5分間延長される…。

鬼ごっこ最終日。走る気力を失った翼の前に、護送車から脱走したという洋が現れた。洋に励まされ再び走りきる決意をした翼だったが、その晩、複数の鬼に追われ逃げ場を失ってしまう。そんな翼を救ったのは、愛を捕らえたあの“赤鬼”だった。その正体を知りショックを受けた翼に、“赤鬼”は驚くべき真相を告げる…。

ついに、鬼ごっこが終了した。
ただ一人の生存者。そして、「逃げ切った者の願いを叶える」という公約のもと、生存者が王様に告げた“願い”とは―!?