■小高和剛

スパイク・チュンソフト(シナリオ担当/アニメシナリオ監修)

 アニメ化に対する期待や応援コメントを依頼されましたが……。そもそも毎週顔を突き合わせて殴り合いや仲直りのハグを繰り返しているので……い、今更言えっかよ!(赤面)
 という訳で……ここでは僕も参加したシナリオ会議で、一体どのような事が行われているかを克明にレポートしたいと思います。
 振り返ってみると、驚かされる事の連続でした。僕はゲーム畑の人間で、アニメの制作現場は初めてだったので、アニメはこうやって作るのかと本当に驚いてばかりでした。まず最初に驚いたのが……初日のシナリオ会議の時に、岸さんと上江洲さんと比嘉さんがダンガンのコスプレをして現れた事です。
 岸さんは大神さくら。上江洲さんは十神白夜。比嘉さんは山田一二三でした。「ど、どうしたんですか……?」と、震え声で尋ねる僕に彼らは言いました。
「今から……学級裁判を始めまーす!(モノクマの声真似で)」
 つまり、彼らはこれからアニメ化する作品を、まず自分らで演じてみようと言うのです!
 そこまでやる気か!ならばこちらも見届けてやる! ……つもりだったのですが、僕も腐川冬子役で参加させられてしまいました。(三つ編みしているという理由で……してないのに)
 そこから15人のコスプレイヤー達がこの物語を最初から最後まで演じていき、時には涙……時には怒号……を繰り返しました。
そして無事にエンディングまで辿り着いた時……僕らは全員涙していました。僕は涙ながらに言いました。
「岸さん……こういう事だったんですね?」
 岸さんは無言で頷きました(もちろん大神さくらの恰好のまま)。
物語の中に入り込んで、登場人物の心情と自分とを完全にシンクロさせる……これが彼らのやり方だったのです!
 僕はその情熱に打ちひしがれました。ですが、それで終わりではありません。彼らの情熱はとどまる事を知りませんでした。
 その翌週……ようやく実際のシナリオ会議が始まるぞと意気込んでいた僕を待ち構えていたのは……
「5分の遅刻…小高くんのクセに生意気よッ!」
「き、岸さん…その格好はッ!?」
 なんと、岸さんは性転換してすっかり女性の姿になられていたのです!
「だって……女性の姿にならないと女性の気持ちが完璧には理解できないもの……」
もちろん、岸さんだけではありません! 上江洲さんや比嘉さんも……おぉ、すっかりお美しくなられているではありませんか!
「……小高くん、ここまで言えばわかるわね?」
僕の目からは自然と涙が零れ落ちていました。
「そ、そこまで……このダンガンロンパに入れ込んでいてくれてたなんて……やりましょう! 必ずや良いものにしましょう!」
 その後も、男性の気持ちを理解する際には男性になり……
 また女性の気持ちを理解する際には女性になり……
 そうこうしている内に、僕らはそもそもの自分の性別すらも忘れてしまいましたが……
 しかし、忘れてない事が1つだけあります!
 ダンガンロンパを最高のアニメ作品にしよう!という想いです。
その気持ちを胸に、僕らは今日も性転換とアニメ制作を繰り返しています! 皆さん、どうか期待しつつ、もう少しだけお待ちください! 一緒に最高のダンガンロンパを楽しみましょう! うぷぷ!

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