INTRODUCTION

全69話!そのドラマに圧倒される最高のヒーローの知られざる生涯

 数々の英傑が中原の覇を賭けて戦い、四千年にわたる長大な歴史を刻んできた中国において、『三国志演義』の関羽と並び称される武将がいる。宋代随一の武勇を誇った漢の名は、岳飛。中国では老若男女誰もが彼の名を、そして功績を知っている稀代の英雄である。日本ではベストセラー作家・北方謙三が記した物語や、田中芳樹が訳した中国の小説の主人公として描いているほかは、いまだ知られざる〝中華英雄伝説、最後の大物〟である岳飛。その壮絶なる人生を描いた中国発のスペクタクル・アクションドラマ『岳飛伝 ‒ T H E LAST HERO-』が、2015年、満を持して日本へ上陸する! 時は十二世紀の中国。宋(北宋)は奸臣の横行による政治腐敗、近隣諸国からの侵攻と諸国の賊の叛乱によって衰退し、建国以来最大の危機を迎えていた。北方の強国・金に国土の半分近くを奪われ、先帝・皇帝父子が連れ去られる〝靖康の変〟により、江南へ追いやられた者たちは新たな皇帝を擁立する(南宋)。金と宋の度重なる戦乱に巻き込まれた領民たちは、家を、家族を、生きる望みを失っていく̶。そんな弱き者たちを守り、金に奪われた故郷を取り戻すべく、百戦錬磨の智将・岳飛が立ち上がる。背中に入れ墨で刻んだ〝尽忠報国〟の精神を秘め、義兄弟たちと無敵の〝岳家軍〟を率いて次々と金の軍勢を打ち破る。破竹の勢いの快進撃は、領民に生きる勇気と希望をもたらした。しかし岳飛の敵は金だけではなかったのだ―。国に報い、人に報い、艱難辛苦を乗り越え続けた岳飛は、なぜ〝最後の英雄〟と呼ばれるのか?幾世紀を超えて中国全土がいまも涙する、岳飛に降りかかったあまりに哀しい運命とは? 権力を欲せず不正を許さず、無双の武勇と誠実な人柄で人々に広く慕われた岳飛。本作は7年の構想期間、32億円もの製作費を投じて、史実や故事成語をもとにストーリーを深めて、金に抗い続けた英雄の19歳から39歳で命尽きるまでの、壮絶なるバトル・ヒストリーを描き出す。最新鋭のハイビジョン・カメラによる撮影、大規模なエキストラ参加によるロケを敢行して、中原の未来を賭けた戦いの数々がダイナミックにフォーカスされる。

実力派俳優の競演で魅了する 尽忠報国の精神を背負った戦い

 岳飛の背に刻まれた〝尽忠報国〟とは、〝忠義を尽くし、国の恩に報いる〟ことを意味している。その言葉の通り岳飛は、宋という国のため戦いに赴くが、その精神は国以上に、彼の家族や、国に生きる人々に向けられている。農家に生まれ育った岳飛は、軍の要職・節度使にまで上り詰めても、常に故郷の母を敬い、子どもの成長を案じ、留守を預かる妻を思う気持ちを忘れない。そして誰もが平穏に暮らせる未来を、彼らと同じ目線で夢見ていく。愚直なまでに人々に尽くすスタイルは、心荒みやすい時代に、他人を思いやって生きぬくことの素晴らしさを教えてくれる。また、欲望にまみれ利権だけを守ろうとする奸臣、難癖をつけて脅威から逃げ続ける武将ばかりの国家において、岳飛は自身と仲間たちを鼓舞し、逆境に立ち向かう。理不尽な世の中を変えていくには、自ら考え、決断し、実行しなければならない̶。岳飛は身をもって訴えているのだ。 一方、騎馬民族・女真族が興した金の武将たちや、岳飛と対立する宋の宰相にして中国史上一、二を争う悪役・秦檜も、勧善懲悪な物語の敵として描かれるのではなく、愛する者を守り、信念を持って混沌の時代を、どう生き抜いたかが活写される。彼らの生きざまも合わせて、『岳飛伝』は、現代社会をサバイブする人々の心に熱く、優しい炎を灯すはずだ。 そんな中国で最も愛される英雄譚を紡ぐべく、実力派スターが集結。岳飛役のホァン・シャオミン(『運命の子』『ラスト・シャンハイ』)をはじめ、北宋・南宋を通しての武功者将・韓世忠役のシャオ・ピン(『三国志外伝 関羽』)、秦檜役のロー・ガーリョン(『ディバージェンス-運命の交差点̶』)、岳飛の妻・李孝娥役のルビー・リン(『地下鉄の恋』『ソフィーの復讐』)ら一流の俳優が名を連ねている。総監督は『水滸伝All Men are Brother』も手掛けたジュ・ジャオリァン。武術監督に『ポリス・ストーリー3』『レッド・ブロンクス』などで手腕を発揮したスタンリー・トン。合戦シーンなどのVFXを『アバター』にも参加したスタジオ、WETAデジタルが担当しているのも特筆すべき点である。 また、『岳飛伝』は日本でも好評を博したドラマ『水滸伝』と同じ宋の時代の物語。宋江、林冲、魯智深ら梁山泊の好漢たちが活躍した〝その後〟の世界が描かれていく。劇中、『水滸伝』を想起させるシーンや、同作の出演俳優が登場するなど、『水滸伝』ファンには嬉しい見どころも満載である。

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